Timegateラマンが、KTH王立工科大学でリアルタイムバイオプロダクションモニタリングを支援!
チャレンジ
ストックホルムにあるKTH王立工科大学(Kungliga Tekniska Högskolan)は、ヨーロッパを代表する工科大学の一つであり、持続可能で効率的なバイオプロダクションの発展における中核パートナーです。
この取り組みは、今日のバイオプロダクションを連続的で高度に自動化された高効率バイオプロセスへと転換することを目的とする国家研究イニシアチブ「AdBIOPROコンピテンスセンター」の枠組みの中で進められています。AdBIOPROは、次世代バイオマニュファクチャリングの産業化に必要なツール、手法、解析技術の開発を産学協同で推進しています。
この取り組みの中で、KTHの細胞技術グループは、バイオプロダクションの効率向上、製造コスト削減、リアルタイムプロセス制御の強化に向けた新しいアプローチを探求しています。
Timegate Instrumentsは、ライフサイエンス、材料研究、産業プロセス制御向けの蛍光フリー・リアルタイム分子モニタリングソリューションを提供することで、このミッションに貢献しています。
”幹細胞治療は医学に革命をもたらしていますが、高品質な細胞を大量に生産することは依然として複雑で高コストです。課題としては、大量の細胞数が必要であること、労働集約的な手作業プロセス、リアルタイムプロセスモニタリングの不足、そして分化が環境変化に非常に敏感であることが挙げられます。”とKTH王立工科大学のVeronique Chotteau教授は述べています。
”私たちは、コスト削減とプロセス効率・品質の向上を実現する新しい方法を模索しています。”
これらの課題に対応するため、AdBIOPROプログラム内のKTHチームは、ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)の連続パーフュージョン バイオプロセスの開発に取り組みました。重要な目的の一つは、リアルタイムのプロセス制御を強化し、培養品質の一貫性を確保し、AdBIOPROの中心目標である連続バイオマニュファクチャリングへの移行を支えるツールとして、リアルタイムラマン分光法を評価することでした。
Timegated® Ramanはパーフュージョンバイオリアクターに統合され、次の役割を果たしました:
- グルコース、グルタミン、乳酸、アンモニア、LDHなどの主要代謝物をリアルタイムでモニタリング
- 非破壊的に細胞の健康状態や分化状態を評価
- バイオリアクター内部で代謝物濃度を直接予測する堅牢なケモメトリックモデルを構築
- 手動サンプリングへの依存を減らし、自動化・データ駆動型バイオプロセスというAdBIOPROの目標に整合

結果
TimegateのTimegated® Raman装置を使用した研究により、複数の代謝物をリアルタイムで高精度に予測することに成功しました。ウェルプレートで取得したデータを用いてモデルをキャリブレーションすることで、以下の代謝物を連続的に推定できました:
乳酸、グルコース、グルタミン、アンモニア、乳酸脱水素酵素(LDH)
この研究で、Timegated® Raman 分光法は、複雑な幹細胞培養においても、ラベルフリーでリアルタイムのプロセスモニタリングを実現できることが示されました。
これにより、従来の手動測定をオンライン分析へと置き換えるという AdBIOPRO の重要な目標に大きく貢献しています。
KTHチームは、高度光学解析技術が細胞培養モニタリングをどのように変革し得るかを示しました:
- 手動サンプリングとプロセス変動の削減
- 重要プロセスパラメータ(CPP)の理解と制御の向上
- アミノ酸分離や連続プロセシングを含む、産業的バイオプロダクションに向けたスケーラブルかつ自動化されたアプローチ
- 細胞の健康状態や分化状態の非破壊評価
また、キャリブレーションデータセットは、連続バイオプロセス環境に適した予測ケモメトリックモデルのための強固な基盤を提供しました。これは、AdBIOPROプログラムの産業化目標に向けた重要な一歩です。
”Timegated® Raman技術とTimegate Instrumentsの専門性は、細胞を乱さずに主要代謝物をリアルタイムでモニタリングするのに大いに役立ちました。
この技術により、バイオリアクター内部のプロセス制御は改善され、細胞の栄養源をモニタリング・最適化するためのより良いモデルが構築できました。
蛍光干渉を抑え、信頼性の高い連続幹細胞バイオプロダクションを実現することができました。装置の性能は、期待以上でした。”
とVeronica氏は述べています。
協業のインパクト
”この協業は、研究規模のバイオプロセスから産業規模のバイオマニュファクチャリングへの移行を加速する上で、高度光学センシングが果たす役割を示すものです”
とTimegate InstrumentsのCEO、Mari Tenhunen氏は述べています。
KTHとTimegate Instrumentsの取り組みは、蛍光を排除したラマン分光法が次世代バイオプロセッシング、連続バイオマニュファクチャリング、細胞治療製造を支援することを示しており、これはAdBIOPROコンピテンスセンターの主要な目標に合致しています。
組織について
KTH王立工科大学
KTH王立工科大学(Kungliga Tekniska Högskolan)は、スウェーデン最大にして、ヨーロッパ有数の工科大学です。工学、バイオテクノロジー、持続可能な生産に強みを持ち、産業界と緊密に連携しながら、研究をラボスケールから実用レベルへと発展させています。
AdBIOPROコンピテンスセンターのような取り組みを通じ、KTHは次世代のバイオプロセシングおよびバイオマニュファクチャリング技術の開発において重要な役割を果たしています。