蛍光ノイズに悩むラマン測定・ 5つの抑制法とTimegateラマン分光技術
ラマン分光と蛍光干渉
Time-Gateラマンで何が解決できるのか
ラマン分光は分子構造や状態を非破壊で解析できる強力なツールですが、蛍光干渉という大きな壁があります。試料から発生する蛍光がラマン信号を覆い隠し、解析精度を大きく損なってしまう。
研究現場で一度は経験されたことがあるのではないでしょうか。
蛍光を抑制する5つの代表的アプローチ
Timegate社が公開した最新資料では、蛍光抑制の代表的な手法を5つに整理しています。それぞれに長所と制約があり、サンプルや実験条件によって選択が難しいこともあります。
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時間領域法:蛍光とラマンの時間差を利用
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周波数領域法:高周波変調でラマン応答の速さを選択的に検出
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波長領域法:励起波長の微調整による差分解析(SERDS, SSRS, WMRS等)
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計算的手法:数学的処理によるベースライン補正
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その他:光退色(Photobleaching)、表面増強ラマン(SERS)、CARSなどの特殊技術
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Timegateラマンとは、なにが違う?
* 蛍光干渉を大幅に抑制
* 強いラマン散乱を低波長励起で測定可能
* 現場でのリアルタイム分析に対応
といった、従来の連続波(CW)レーザーラマン分光では困難な測定を実現します。

ラマン散乱が他の発光現象よりも優勢となる瞬間だけから、信号を収集するので、高いシグナルノイズ比で測定が可能になります。
TimeGateラマンを成立させる3つの要素
Time-Gatedラマンは、単一技術ではなく、複数の要素を最適化したシステムです。
*パルスレーザにより瞬間的に非常に高いピークパワーを実現し、パルスレーザーとほぼ同時に生じるラマン散乱信号を時間ゲート機能によって選択的に検出。
*時間ゲート検出では、蛍光が立ち上がる前の極めて短い時間窓だけを選択し、ラマン信号が最も優勢となる瞬間から信号を収集。
*検出器にはCMOS-SPAD(Single Photon Avalanche Diode)を用い、単一光子レベルの信号でも高い感度で検出が可能。
これらを一体として最適化することで、Time-Gatedラマン分光器は蛍光を強力に抑制しながら、安定したラマン信号取得を可能にしています。
研究者にとってのメリット
*蛍光を多く含むバイオサンプルや環境試料でも高精度解析
*定量性の高いデータ取得で再現性向上
*サンプル前処理の簡略化による時間短縮
基礎研究から応用研究まで、幅広い分野に新たな可能性をもたらします。
注意が必要な試料
*蛍光の立ち上がりが極端に早い試料(ラマン散乱と時間的に重なる)
原理的にこのようなサンプルは、蛍光抑制効果が限定的になります。
まとめとリンク
蛍光干渉はラマン分光における普遍的な課題です。
Timegate社の技術と本資料で紹介されている5つのアプローチは、その解決に向けたヒントとしてお役にたてていただけると思います。
👉 資料はこちら
ラマン分光:TIME-GATINGとその他の蛍光抑制技術(PDF)
詳細については、ウェブサイトもご参照ください。