ラマン分光は分子の構造や状態を非破壊で解析できる強力なツールですが、蛍光干渉という大きな壁があります。試料から発生する蛍光がラマン信号を覆い隠し、解析精度を大きく損なってしまう。研究現場で一度は経験されたことがあるのではないでしょうか。
Timegate社が公開した最新資料では、蛍光抑制の代表的な手法を5つに整理しています。それぞれに長所と制約があり、サンプルや実験条件によって選択が難しいこともあります。
時間領域法:タイムゲーティングで蛍光とラマンの時間差を利用
周波数領域法:高周波変調でラマン応答の速さを選択的に検出
波長領域法:励起波長の微調整による差分解析(SERDS, SSRS, WMRS等)
計算的手法:数学的処理によるベースライン補正
その他:光退色(Photobleaching)、表面増強ラマン(SERS)、CARSなどの特殊技術
Timegateなど時間領域法
特に注目したいのはTime-gateingを含む時間領域法(Time-domain methods)です。
Timegate社の「Timegated Raman™」は、パルスレーザーと時間分解を組み合わせ、蛍光よりも速く届くラマン信号だけを選択的に取得します。
この仕組みにより、
蛍光干渉を大幅に抑制
強いラマン散乱を低波長励起で測定可能
現場でのリアルタイム分析にも対応
といった従来の連続波(CW)レーザーラマンでは困難だった測定を実現します。
蛍光を多く含むバイオサンプルや環境試料でも高精度解析
定量性の高いデータ取得で再現性向上
サンプル前処理の簡略化による時間短縮
これらは基礎研究から応用研究まで、幅広い分野に新たな可能性をもたらします。
蛍光干渉はラマン分光における普遍的な課題です。
Timegate社の技術と本資料で紹介されている5つのアプローチは、その解決に向けたヒントとしてお役にたてていただけると思います。
関連情報:
👉 資料はこちら
Time-gating and other fluorescence suppression techniques (PDF)
詳細については、ウェブサイトもご参照ください。