効率的なプラスチックリサイクルには、材料の正確な識別と選別が欠かせません。しかし、電気・電子機器廃棄物(WEEE)由来の廃プラスチックは、材料組成が複雑であることに加え、添加剤や臭素系難燃剤(BFR)の存在により、分類が難しい場合があります。これらは、リサイクル材の品質や安全性にも影響を及ぼす可能性があります。
最近発表された査読付き研究では、Timegated®ラマン分光とアクティブハイパースペクトルセンシング(AHS)を組み合わせることで、臭素系難燃剤を含む選別困難な廃プラスチックの分類をどのように改善できるかが検討されました。本研究では、電気・電子機器廃棄物に由来するプラスチックを対象としており、従来手法では分析が難しい暗色系材料や、組成が複雑な材料も含まれています。
研究者らは、実際のWEEE廃棄物ストリームから得られた廃プラスチックサンプルと、実験室で調製した参照材料を合わせて、200点以上のサンプルを分析しました。Timegated®ラマンは近赤外(NIR)ハイパースペクトルセンシングと併用され、機械学習モデルにより、リサイクルおよび規制対応に関連する臭素濃度レベルに基づいてプラスチックが分類されました。
その結果、ラマンデータとハイパースペクトルセンシングデータを組み合わせることで、分類性能が大きく向上することが示されました。バランス分類精度は80%を超え、単一センサーによる手法を上回る結果が得られています。これらの結果は、Timegated®ラマンがリサイクルプロセスにおける廃プラスチックのより信頼性の高い選別と材料特性評価を支援できる可能性を示しています。
なぜ産業リサイクルにとって重要なのか?
廃プラスチックを確実に識別することは、リサイクル効率の向上、材料純度の向上、そしてプラスチックの循環利用を進めるうえで不可欠です。臭素系難燃剤は電子機器由来の廃プラスチックに広く含まれており、リサイクル材が安全性および品質要件を満たすためには、慎重な選別が必要です。
本研究は、Timegated®ラマン分光が、プラスチックリサイクルにおける主要な課題の一つである、複雑で添加剤を多く含み、分類が難しい材料の分析に貢献できることを示しています。選別困難な廃棄物ストリームをより確実に識別できるようにすることで、Timegated®ラマンは、よりスマートなリサイクルと、より持続可能な材料回収を支援します。
主なポイント
・ 臭素系難燃剤を含むWEEE由来廃プラスチックの分類を改善
・ 添加剤を多く含む選別困難なプラスチックストリームを、より信頼性高く選別
・ ラマンとハイパースペクトルセンシングのセンサーフュージョンにより性能を向上
・ 本研究では80%を超える分類精度を達成
・ リサイクル効率とプラスチック循環利用の向上に貢献する可能性
関連する制度・規制
EU WEEE指令(WEEE:Waste Electrical and Electronic Equipment)
WEEEとは、使用済みの電気・電子機器廃棄物を指します。欧州委員会のWEEE解説ページでは、WEEEは急速に増加している廃棄物であり、有害物質を含む複雑な材料混合物であると説明されています。
本記事で紹介するWEEE由来の廃プラスチック選別は、リサイクル効率の向上だけでなく、有害物質を含む材料の適切な識別・分離という観点からも重要です。
臭素系難燃剤(BFR)について
本記事で紹介する研究では、臭素系難燃剤(BFR)を含むWEEE由来廃プラスチックの分類が対象とされています。
臭素系難燃剤にはPBDE、PBB、HBCDなど複数の種類があり、一部の物質は環境中での残留性や生物蓄積性などが問題視されています。そのため、RoHS指令やPOPs条約などにより、特定の臭素系難燃剤は規制・管理の対象となっています。
原著論文を読む
詳細な手法と結果にご関心のある方は、査読付き論文をご覧ください。
「Raman spectroscopy combined with active hyperspectral sensing for classification of waste plastics containing brominated flame retardants: A sensor fusion approach」
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