卓上NMRで マイクロ波PET合成のスクリーニング
デンマーク工科大学などの国際研究チームが、マイクロ波加熱を利用した新しいPET(ポリエチレンテレフタレート)合成法を報告しました(Journal of Applied Polymer Science, 2025)。この研究の注目点は、従来のPET合成で要していた数時間から数日かかる高温長時間プロセスをわずか1時間以内で再現しつつ、触媒や再生モノマーの性能を「迅速スクリーニング」できる点にあります。
その評価の中核を担ったのが卓上型NMRです。研究チームはMagritek社の80 MHz Spinsolveを使用し、マイクロ波反応中に生成する中間体や副生成物を定量NMR(qNMR)で解析しました。
この手法により、テレフタル酸(TA)とエチレングリコール(EG)から生成するBHETやオリゴマーの量比を定量的に把握しました。
この簡便なNMR解析により、触媒の反応特性や、再生原料(酵素分解で得たテレフタル酸やグリコリシス由来のBHET)のポリマー化を、短時間で比較できるようになりました。
最終的には、マイクロ波反応で得た生成物を固相重合により高分子量PETへと発展させることにも成功し、迅速評価から実用材料へつなぐ実験フローを提示しています。
環境関連情報:
👉卓上NMR Spinsolve × グリーンケミストリー・熱分解油の19F卓上NMR解析
👉卓上NMRでマイクロプラスチックを測定・拡散NMRによる新しい環境分析法の紹介
卓上NMR資料: